父の部屋

雑記

これから話すことは、「だからってどうにもできないけどさ」という内容です。

そして、内容にはエビデンスはありません。あくまで主観的で、私が「そうだと思うんだよね」というお話です。ご了承ください。

私の父親は、匂いが強めです。若いころからそうだったと思います。(私が子供のころ)

40台あたりから、徐々に強くなったのではないでしょうか。
父と母は別々の部屋で寝ています。若いころは一緒だったと記憶していますが、私が家を出た頃から別になったようです。空いた私の部屋に母が入った形。

父の部屋はキレイ。きれい好きで整頓されていました。ほこりもない感じ。仕事していても父の部屋だけはキレイでした。しかし、匂いだけは、ほかの部屋より強いことが印象的。どんなに換気をしても消えない。思春期の子供ではなかったので、「ま、しょうがないよね、加齢臭だよね」と。

そんな父は、とても穏やかな人で、怒られた記憶はありません。私が思春期にありえない行動をし、母親に怒られ、家出のようなことをしても、バイクで追いかけてきて「悪いと思っているよね、お母さんに謝れば大丈夫だから帰ろう」と何度も声をかけてきて、涙が止まらず、促されるままに家に戻り、母に謝った記憶は一生忘れないと思う。その日の朝日はとても綺麗でした。

父も歳をとり、徐々に認知症の症状が出始めました。私は早い段階で一人暮らしを始めたので、状況はまったくわかりませんでした。定年を迎え、趣味もなかった父は急速に老け込みはじめたと思う程度。時折、帰省する私には、「なんだ、帰ってきたのか。忙しいのか」と尋ねる。結婚後は、パパさんのことを気に入ってくれていたようで、「○○さんはどうした。仕事か。」と一人で帰省すると必ず聞いてきました。

その頃より母から「怒ってしょうがない。直接ではないけど、壁とか叩くんだよ」「怒りすぎて泣くんだよ」と父の様子をこっそり私に教えましたが、私に会うと全然そんな素振りはなく、信じがたいというのが本音。ただ、自分の職業的に、認知症でも、たまに会う家族にはいい顔・しっかりした自分でいることがあると知っているため、「ああ、そうなのかもなあ」とすこしさみしかったです。

感情が爆発するようになってからの父は、匂いが増し増し。父の部屋は正直、息できないくらいでした。

ある日、脳梗塞となって、寝たきりとなり、入院中に再梗塞。このコロナの影響で面会禁止。家族の誰もが父の現状を把握できない状況。母が荷物を届けに行っても会えない。母が受けた医師からの説明も、わかったようなわからないような・・・そんな感じ。緊張もするし、専門用語もあるしで。

ようやく退院してきた父は、全身拘縮していて、誰が誰だかわからない。言葉も発しない。目も合わない。手を握っても握り返すけど、手だという認識はなく、反射で握っているのがわかる。スプーンが口唇に当たると開口して咀嚼嚥下するだけ。「おいしい」も「まずい」もない。

ショックでした。患者さんに変化があるのはよくあること。わかっていても、いざ自分の家族が入院前とまったく違う姿で戻ってきているのを見ると、気持ちの整理がつかなかった。

そんなときに、「あれ?お父さん臭くない」と思いました。オムツを使っているので、排せつ物の匂いは多少しますが、あの強烈な匂いがない。

感情がほぼ平坦な父は、激しいストレスがないのかもしれない。

私もパパさんも、仕事の日は帰ってくると匂います。休みの日は匂いません。これ不思議。

生きていると、知らず知らずのうちに様々なストレスがかかる。汗腺から漏れ出てくる。どんなにきれいにしても。これは仕方ないこと。気をつけていくことも大切だけど、どうにもならないこともあるのだから、受け入れていきたい。これも加齢なのかな。

「おとうさん、あなたの娘も、結構匂うようになりました。上手に付き合っていこうと思っています。コロナが落ち着いたら、また行くからね。お母さんのごはん、残さず食べて待っててね。」

・・・匂いの話ってどうなんだろう。ま、いつも思っていることだし、いいか。
お食事中でしたら、すみません。

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